何もしなければ子供は元の戸籍に残るので、離婚して籍を抜ける親とその子供とは戸籍が別々になります。籍を抜けた親の戸籍に子供を入れるには、子供の姓を変更する手続が必要です。
1.離婚した親の戸籍
婚姻をした際に、夫婦の戸籍は新しく編成されています。離婚をすると、この戸籍から一方が抜けることになります。抜けるのは、婚姻の際に姓を変えた方です。
夫婦の戸籍を抜けた方は、何もしなければ原則として実家の親の戸籍など婚姻前の戸籍に戻ります(復籍)。ただし、戸籍は中に入っている方が死亡や婚姻などで全員いなくなると除籍されますが、元の戸籍がこの除籍の状態になっている場合にはそこには戻らず、新しい戸籍が編製されます。また、元の戸籍が残っていても希望によりそこに戻らず、新しい戸籍の編製をしてもらうことができます(戸籍法19条1項但書)。
婚氏続称を選択した場合にも、新しい戸籍が編製されます(例外的に、復籍した戸籍に自分だけが記載されている状態となっている場合には、そのまま姓だけが変わります。戸籍法19条3項)。
2.子供の戸籍
子供は、婚姻中当時の戸籍にそのまま残ります。籍を抜けた親が親権者かどうかに影響されません。
戸籍が異なっていても親子の法的関係には影響ありません。ただ、子供が何かのタイミングで戸籍を見た時に一緒に暮らしていない親と同じ戸籍であることに違和感を抱いたり、元配偶者が再婚した場合にその相手と子供が同じ戸籍にいるということに心理的抵抗が生ずることは考えられます。
そこで、離婚により籍を抜けて親権も取得した親が子供を自分の戸籍に入れたいというケースは多いです。戸籍には「1つの戸籍には1つの姓」というルールがあるので、子供の姓を自分に合わせなければなりません。
ここで注意点があり、わかりにくいのですが、婚氏続称を選択して婚姻中の姓を名乗ることにしている場合でも、子供を自分の戸籍に入れるためにはやはり子供の姓の変更が必要になります。
3.子供の姓を変更する手続
子供の戸籍を動かすため、子供の姓を変更するには、家庭裁判所に「子の氏の変更許可申立て」を行います。家庭裁判所で姓を変更する許可を得た後、市町村に対して入籍届を行います。その具体的な手続は『離婚Q&A 離婚と子供の姓』を参照してください。