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管轄・裁判管轄【かんかつ・さいばんかんかつ】

管轄・裁判管轄【かんかつ・さいばんかんかつ】

管轄・裁判管轄とは、特定の事件について、全国各地の裁判所の内、どの裁判所が事件を担当するか、裁判権の分担・分掌に関する定めをいいます。
離婚などの家庭に関する事件の審判や調停、人事訴訟の第1審の裁判は、管轄は、家庭裁判所にあります(事物管轄)。
そして、具体的な離婚事件について、全国各地にある家庭裁判所のどこの家庭裁判所に管轄があるか(土地管轄)は、法律の規定で定まる場合もあれば、当事者の合意によって管轄が決まる場合もあります。

 

解説

1 管轄・裁判管轄とは

管轄・裁判管轄とは、裁判所同士の事件の分担、裁判権の分掌に関する定めをいいます。

ある事件について、裁判手続きを利用したい場合、当該事件の裁判権、管轄を有している裁判所に、その裁判手続きの利用を申し出る必要があります。

管轄は、事件の性質によって分類(事物管轄。地方裁判所、簡易裁判所及び家庭裁判所のいずれの裁判所に事件を分担させるか)されるほか、事件の発生地など地域による分類(土地管轄。全国各地のどこの裁判所に事件を分担させるか)など、様々な分類がされています。

2 離婚調停・離婚審判・離婚裁判の第1審の管轄

離婚調停や離婚審判は、家庭裁判所の管轄に属します(裁判所法31条の3第1項1号)。

離婚裁判の第1審も、同様です(同項2号)。

なお、離婚裁判の控訴審は、高等裁判所の管轄に属します。

3 離婚調停・離婚裁判の土地管轄

離婚調停は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は夫婦が合意で定める家庭裁判所の管轄に属します(家事事件手続法245条1項)。

他方、離婚裁判(第1審)は、当事者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属します(人事訴訟法4条1項)。

離婚調停や離婚裁判が、管轄のない家庭裁判所に申立て又は提起された場合、当該事件は、原則として、当事者の申立て又は家庭裁判所の職権により、管轄のある家庭裁判所に移送されることになります(家事事件手続法9条1項本文ほか)。

ただし、申立てのあった家庭裁判所が、特に必要と認める場合、管轄のない可家庭裁判所に事件を移送、又は、当該裁判所でその事件を処理することも認められます(同項但し書き)。

また、離婚訴訟を提起した家庭裁判所が、離婚調停を行った裁判所である場合、当該家庭裁判所に離婚裁判の管轄がなくとも、同様に、特に必要がある戸認める場合には、自庁処理することが認められています(人事訴訟法6条)。

 

関連条文

裁判所法31条の3 第1項 

家庭裁判所は、次の権限を有する。

一 家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)で定める家庭に関する事件の審判及び調停

二 人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)で定める人事訴訟の第一審の裁判

三 略

家事事件手続法 245条1項

家事調停事件は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。

同法 9条1項

裁判所は、家事事件の全部又は一部がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより又は職権で、これを管轄裁判所に移送する。ただし、家庭裁判所は、事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、家事事件の全部又は一部の管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に移送し、又は自ら処理することができる。

人事訴訟法 4条1項

人事に関する訴えは、当該訴えに係る身分関係の当事者が普通裁判籍を有する地又はその死亡の時にこれを有した地を管轄する家庭裁判所の管轄に専属する。

同法 6条

家庭裁判所は、人事訴訟の全部又は一部がその管轄に属しないと認める場合においても、当該人事訴訟に係る事件について家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)第二百五十七条第一項の規定により申し立てられた調停に係る事件がその家庭裁判所に係属していたときであって、調停の経過、当事者の意見その他の事情を考慮して特に必要があると認めるときは、民事訴訟法第十六条第一項の規定にかかわらず、申立てにより又は職権で、当該人事訴訟の全部又は一部について自ら審理及び裁判をすることができる。

 

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