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親子関係不存在確認の訴え【おやこかんけいふそんざいかくにんのうったえ】

親子関係不存在確認の訴え【おやこかんけいふそんざいかくにんのうったえ】

親子関係不存在確認の訴えとは、法律上の親子関係を争うための裁判手続きをいいます。
ただし、嫡出推定される子について親子関係を争う場合、親子関係不存在確認の訴えによることはできず、嫡出否認の訴えによる必要があります。

 

解説

1 親子関係不存在確認の訴えとは

親子関係不存在確認の訴えとは、推定されない嫡出子や非嫡出子について、法律上の親子関係を争う、法律上の親子関係の不存在を確認するための裁判手続きをいいます。

嫡出の推定が及ぶ嫡出子について、親子関係を争うためには、嫡出否認の訴えによるほかありません(民法722条、同774条ほか。詳しくは、下記5で詳述します)。

2 親子関係不存在確認の訴えの申立権者

親子関係不存在確認の訴えは、子、子の母、子の父(戸籍上の父)のほか、子の実父など親子関係について直接身分上利害関係を有する第三者が、申し立てることができます。

3 親子関係不存在確認の訴えの期限

親子関係不存在確認の訴えに、申立の期限はありません。

4 親子関係不存在確認の訴えの手続き・流れ

親子関係不存在確認の訴えは、調停前置主義の適用があります(家事事件手続法257条、同244条、人事訴訟法2条2号)。

したがって、相手方(申立人が誰かによって相手方が異なります)の住所地を管轄する家庭裁判所に、親子関係不存在確認調停を申し立てます。

当事者で管轄の合意がある場合は、合意した家庭裁判所に申し立てることもできます。

親子関係不存在確認調停において、当事者間で、親子関係不存在の合意ができた場合、家庭裁判所が必要な調査を行った上で、その合意が正当であると認められれば、合意に従った審判がなされます。合意ができなかった場合、親子関係不存在確認訴訟を提起して、親子関係を争うことになります。

5 親子関係不存在確認の訴えと嫡出否認の訴え

父母が法律上の婚姻関係にある(あった場合)について、子が次のいずれかにあたる場合、嫡出子であると推定されます(民法772条。嫡出子について、詳しくは、嫡出子の解説を参照ください)。

①妻が婚姻中に妊娠した子

②婚姻成立の日から200日経過後に妻が生んだ子

③婚姻の解消又は取り消しの日から300日以内に元妻が生んだ子

このような嫡出子であると推定される子の親子関係を否定するには、嫡出の推定を覆す必要があります。そのための手続きとして、嫡出否認の訴えがあり、推定される嫡出子の父子関係を否認する場合、嫡出否認の訴えによるほかありません。

ただし、嫡出否認の訴えは、提訴権者が夫(戸籍上の父)のみであること、子の出生を知ってから1年以内に訴えなければならないなど、限定的です。

これに対し、親子関係不存在確認の訴えは、上記のとおり、広く、法律上の親子関係を争うことができます。

また、本来であれば、嫡出子であると推定される子であっても、夫が長期の海外出張、受刑、別居等で子の母と性的交渉がなかった場合など、妻が夫の子を妊娠する可能性がないことが客観的に明白である場合には、例外的に、夫の子であるとの推定が及ばなくなります。

したがって、このような場合には、親子関係不存在確認の訴えで、親子関係を争うことができます。

 

親子関係不存在確認の訴え

嫡出否認の訴え

申立権者

子の母

子の戸籍上の父

子の実父など

子の戸籍上の父

期限

なし

子の出生を知ってから1年

対象

①推定されない嫡出子(婚姻から200日以内に生まれた子)、②非嫡出子(法律上の婚姻関係にない男女間に生まれた子)、③妻が夫の子を妊娠する可能性がないことが客観的に明白であるため、例外的に嫡出推定されない子との親子関係

推定される嫡出子(①妻が婚姻中に妊娠した子、②婚姻成立の日から200日経過後に妻が生んだ子、③婚姻の解消又は取り消しの日から300日以内に元妻が生んだ子)との親子関係

 

関連条文

民法772条

第1項 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。

第2項 婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。

同774条

第七百七十二条の場合において、夫は、子が嫡出であることを否認することができる。

家事事件手続法244条

家庭裁判所は、人事に関する訴訟事件その他家庭に関する事件(別表第一に掲げる事項についての事件を除く。)について調停を行うほか、この編の定めるところにより審判をする。

同257条

第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない。

人事訴訟法2条

この法律において「人事訴訟」とは、次に掲げる訴えその他の身分関係の形成又は存否の確認を目的とする訴え(以下「人事に関する訴え」という。)に係る訴訟をいう。

1号 (略)

2号 嫡出否認の訴え、認知の訴え、認知の無効及び取消しの訴え、民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百七十三条の規定により父を定めることを目的とする訴え並びに実親子関係の存否の確認の訴え

3号 (略)

 

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