財産分与は、離婚時に行うか、離婚が成立してから2年以内に請求しなければなりません。
目次
1.財産分与は離婚後2年が期限
財産分与は、離婚時または離婚後も請求することができます。
もっとも、離婚が成立してから2年が経過すると、権利が消滅し、財産分与請求できなくなります。
この期限は、法律上の性質としては、除斥期間にあたります。
時効(消滅時効)と似ていますが、2年経過すれば時効援用のような手続きを取ることなく権利が消滅する点と、期限の進行中にその進行を止め、期限をリセット・更新する(時効の中断といいます)ことができない点で、時効とは異なります。
2.財産分与調停・審判中に2年経過したら
離婚成立から2年以内に財産分与調停や審判の申立てを行っていれば、その調停・審理中に2年が経過しても、財産分与を受けることができます。
なお、財産分与調停や審判を取り下げてしまうと、離婚成立から2年経過で財産分与請求権が消滅します。
3.2年経過後の財産分与請求
3-1.任意の財産分与
離婚成立から2年経過後は、相手が任意に応じてくれない限り、財産分与できなくなります。
3-2.共有物分割請求
夫婦共有名義の財産がある場合には、共有財産を分け合う、共有を解消する手続きとして、共有物分割請求があります。
4.財産分与によって確定した権利・請求権の時効
財産分与の調停や審判、判決によって確定した権利・請求権、例えば、財産分与に基づく金銭の支払い請求権や財産の移転請求権などは、それぞれ、消滅時効の適用を受けることになります。
時効期間は、確定の時から10年(民法169条1項)です。
5.財産分与請求中に財産が移転してしまった場合
離婚成立から2年の間に、相手が財産を処分してしまうなど、財産状況が変わってしまう場合もあります。
離婚時(別居が先行している場合は別居時)に存在していた夫婦財産は、財産分与に際しては、現存するものとして、財産分与の対象に加えて、財産分与することになります。
ただし、財産を処分してしまった場合、現物はなくなっているため、代わりにその財産に相当する金銭(代償金)を支払うなどの対応が必要になります。
6.財産分与は離婚前にはできない
財産分与請求は、夫婦の婚姻中はできません。
なお、離婚成立前に財産分与の協議がなされた場合、財産分与は、離婚を条件に効力が生じることになります。
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