慰謝料として相当な額の金銭であれば、所得税や贈与税などの税金はかかりません。
1.慰謝料と所得税
一般的に、慰謝料とは、精神的な苦痛に対する損害賠償です。相手の不貞や暴力行為など、不法行為と評価できる事情により離婚に至る場合、慰謝料を請求することができます。
慰謝料その他の損害賠償金は、所得税法上の「非課税所得」として規定されているため、所得税がかかりません。
(非課税所得)
所得税法9条1項
18 …損害賠償金(これらに類するものを含む。)で、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの
2.慰謝料と贈与税
贈与とは無償で財産を譲り渡す契約です。贈与により取得した財産には贈与税がかかりますが、慰謝料その他の損害賠償金は贈与ではないため、贈与税はかかりません。
3.実質的に贈与に当たる場合
しかし、名目は慰謝料であっても、実質的には贈与である場合が考えられます。
- 不貞や暴力行為などがなく、不法行為が成立していないと考えられるのに慰謝料を授受した場合
- 慰謝料として通常考えられる金額を大幅に超えている場合
このような場合は、全部または一部が贈与ととらえられ、贈与税を課税される可能性があるため注意が必要です(個人からの贈与として贈与税がかかる場合、所得税はかかりません)。