家庭裁判所の実務においては、夫婦双方の収入と子供の人数・年齢に応じて標準的な婚姻費用の金額を定めた「婚姻費用算定表」が用いられています。そのため、協議で婚姻費用の金額を定める場合においても、「婚姻費用算定表」の金額が相場となります。もっとも、当事者が合意するのであれば、「婚姻費用算定表」と異なる金額であっても問題ありません。
1.司法統計上多い婚姻費用の金額
最高裁判所は毎年司法に関係する統計をとりまとめて公表しています。その中で、全国の家庭裁判所の審判や調停でまとまった婚姻費用の金額に関するデータがあります。詳しくは、裁判所の司法統計・家事事件編をご参照ください。もっとも、婚姻費用の金額は、子供の人数・年齢、双方の収入額等の個別具体的な事情によって決まりますので、統計的に多い金額であるからといって、婚姻費用の相場ということはできません。
2.婚姻費用算定表の利用
子供の人数・年齢と双方の収入額に応じた標準的な婚姻費用の金額を把握できるように作られたのが「婚姻費用算定表」です。本来は標準的算定方式と呼ばれる理論と計算式に基づいて個別に求めることもできますが、便宜のため、計算結果をあらかじめ網羅的に出して早見表形式にまとめてあります。
この算定表は家庭裁判所で広く用いられており、調停でも算定表をベースに進行が図られ、審判となれば算定表を適用して分担額が命じられることになります。標準的算定方式でカバーできない特殊な事情がある場合には算定表の金額を修正することもありますが、もともと幅のある金額で記載されていることもあり(「4万円~6万円」など)、通常は算定表の枠内で分担額が決定されます。
家庭裁判所に行かず、夫婦の協議で婚姻費用を定める場合には、算定表に縛られる必要はありません。しかし、話し合いがうまくいかず家庭裁判所に判断してもらうとすれば、どの程度の金額になるのかの目安を知るために、算定表を用いることができます。