協議離婚や調停離婚では、相手方と離婚の合意ができるのであれば、どのような理由でもかまいません。
しかし、裁判離婚では、民法の定める離婚原因が必要になります。そして、「性格の不一致」そのものはこれに当たりません。もっとも、性格の不一致に加え長期の別居などの事情から婚姻関係が破綻していると認められる場合には、民法が定める離婚原因の一つである「婚姻を継続し難い重大な事由」として裁判離婚することができます。
なお、裁判であっても相手方との和解により離婚が成立することもあります。
1.性格の不一致とは
「性格の不一致」は法律に出てくる言葉ではなく、法律上の定義はありません。一般に夫婦の性格が合わないことで一緒に暮らすのが苦痛であるという意味で、「離婚したい理由は性格の不一致だ」と、離婚を請求する側がよく用いる言葉です。
法務省による令和2年度のアンケート調査結果によれば、協議離婚の原因の6割以上が「性格の不一致」となっています。また、最高裁判所による令和3年度の司法統計によれば、離婚調停申立ての理由の4割以上が「性格が合わない」となっています。
このように、実際に離婚する夫婦の離婚理由としては、最も多いのが「性格の不一致」であるといえます。
2.性格の不一致と「離婚原因」
民法が定める離婚原因は、①不貞行為、②悪意の遺棄、③3年以上の生死不明、④強度の精神病、⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由の5種類であり、いずれかが存在することを主張立証しなければ、裁判離婚は認められません。
このうち⑤のその他婚姻を継続し難い重大な事由は、いろいろな事情が含まれうる幅広い離婚原因です。しかし、何でもよいというわけではなく、裁判所の評価により婚姻関係が破綻していて修復が不能であり、婚姻を継続し難いと認められるようなものでなければなりません。
性格の不一致は一般的に、それだけでは婚姻を継続し難い重大な事由とは認められません。性格に起因した衝突、別居などの事情が加わることで、婚姻関係が破綻していると認定されやすくなります。
3.性格の不一致で離婚を求めたい場合には
まずは、協議離婚か調停離婚の成立を目指しましょう。協議離婚は離婚届を提出するだけで成立する簡単な離婚手続きです。離婚条件が折り合わない場合や、お金の問題が絡む場合には、調停離婚をお勧めします。
調停でも合意に至らない場合には、裁判離婚のために訴訟提起を検討することになりますが、性格の不一致以外に離婚原因がない場合には、婚姻関係が破綻していると認められない可能性があります。そこで、離婚を決意した後は早期に別居を検討するべきです。別居期間が長くなれば、一般的に、婚姻関係が破綻していると認められる可能性が高くなるからです。
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