不貞行為が原因で離婚する場合、相手配偶者に慰謝料を請求することができます。
その金額は婚姻期間や夫婦関係の状況、不貞行為の期間、頻度、態様などによって異なりますが、一般的に150万円~300万円となることが多いです。
1.不倫・浮気による離婚と慰謝料
婚姻している者が配偶者以外の者と性的関係を持つことを不貞行為といい、裁判離婚が認められる離婚事由(離婚原因)の一つとして民法に規定されています(770条)。
つまり、不貞をした配偶者が離婚を拒否しても、相手配偶者が裁判所に訴えて不貞行為の事実を証明すれば離婚できることになります。不貞行為を理由に離婚する場合、不貞をした配偶者は、自らの有責な行為により離婚を余儀なくさせたことから、不法行為が成立し、損害賠償(慰謝料)の支払い義務を負います。
一方、不貞はあったが離婚はしないという場合でも、不貞行為は婚姻共同生活の平穏という法的保護に値する利益を侵害する行為なので、やはり不法行為が成立し、不貞をした配偶者は損害賠償(慰謝料)の支払い義務を負います。しかし離婚した場合と比較すれば精神的苦痛は小さいと評価されるため、慰謝料の金額は下がる傾向にあります。
2.慰謝料の金額の決まり方
慰謝料とは精神的苦痛に対する損害賠償を意味します。お金や物の損害のように金銭で見積もれない損害について、裁判所が裁量により精神的苦痛の大きさを評価し、金銭での賠償を命じるものです。
そのような性質上、慰謝料の金額に明確な基準はありません。しかし、裁判官によってバラバラの判断となるわけではなく、一定の相場が形成されています。また、どのような事情があれば慰謝料の増額事由や減額事由となるかについても、おおむね裁判所の間で認識が共有されているといえます。
3.不貞をした配偶者が支払う慰謝料の相場
これまでの裁判例に照らせば、おおむね以下の金額が相場といえます。
離婚する場合 150万円~300万円
(離婚しない場合 数十万円~150万円)
ただし、以下のような増額事由・減額事由があれば大きく上下することがあります。
増額事由の例
- 婚姻期間が長い
- 婚姻期間が長い
- 不貞期間が長い等(長期間多数回、同棲、妊娠出産など)
- 発覚後の態度の悪質性(開き直る、約束違反、嘘など)
- 不貞をされたことで心身に不調をきたした
- 不貞関係が解消されていない
減額事由の例
- 不貞以前から夫婦仲が破綻に近い状況だった
- 不貞をされた配偶者にも有責事由がある
- 真摯な反省や謝罪
4.不貞相手から慰謝料を受領している場合の取扱い
不貞をした配偶者に慰謝料を請求する以前に不貞相手から慰謝料を受領している場合、不貞をした配偶者に請求できる慰謝料は、上記相場より減額されることになります。