再婚禁止期間は、原則として離婚してから100日です。もっとも、離婚後に出産した場合や離婚時に妊娠していない場合等には、再婚禁止期間中に再婚することができます。
1.再婚禁止期間はなぜあるか
再婚禁止期間は、民法の嫡出推定により、子の父親が誰であるかについて、前婚の夫だとする推定と後婚の夫だとする推定が重なることを避けるために設けられています。
2.改正の経緯
前婚の夫だと推定されるのは離婚後300日間であり、後婚の夫だと推定されるのは再婚後200日経過後であることから、離婚後100日間のみ再婚を禁止すれば、推定の重複を防ぎうることになります。しかし、平成28年(2016年)の改正前の民法では、再婚禁止期間を6か月と定めていました。
これに対し、平成27年(2015年)の最高裁判決が、100日を超える部分については女性の婚姻の自由に対する不当な侵害となっており、憲法に違反すると判断を示しました。この違憲判決を受けて早急に改正が行われ、平成28年(2016年)に改正法が成立・施行されました。
3.再婚禁止期間を100日へ短縮
上記違憲判決を受けて、再婚禁止期間が100日に短縮されました。
(再婚禁止期間)
民法733条1項 女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して100日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。
なお、細かい点ですが再婚禁止期間を数え始める起算点にも変更があり、従来は初日不算入だったのが、初日を1日目と数えた上で100日となりました。
4.再婚禁止の例外の追加
従来から再婚禁止には例外があり、離婚後に出産した場合には、その後は6か月の経過を待たずに再婚できることとされていました。出産後は前婚継続中に懐胎した子を妊娠していないことが明らかなためです。
これと同様に、前婚継続中に懐胎した子を妊娠していないことが明らかであれば再婚を認めて問題ないはずなので、その観点から次のように例外を広げる改正が行われました。
民法733条2項 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 女が前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった場合
二 女が前婚の解消又は取消しの後に出産した場合
5.再婚禁止の例外に当たる場合の再婚の手続き
民法733条2項の改正を受けて、戸籍実務では次のような取り扱いが行われるようになりました。
参照:法務省ウェブサイト|民法の一部を改正する法律(再婚禁止期間の短縮等)の施行に伴う戸籍事務の取扱いについて
まず、離婚後100日以内に再婚したい場合、婚姻届に所定の様式による医師の証明書を添付しなければなりません。その医師の証明書により、733条2項のいずれかに該当することが認められれば、婚姻届が受理されます。
医師の証明書とは、正式には「民法第733条第2項に該当する旨の証明書」といい、以下のいずれかに当たることを医師が証明する内容となっています。
(1)離婚した日より後に懐胎している
(2)離婚した日より後の一定の時期において懐胎していない
(3)離婚した日より後に出産した
医師の証明書の書式は法務省のウェブサイトから入手可能です。
したがって、(1)~(3)のいずれかに当たる場合は、書式を用意して産婦人科等の医師に証明書の作成を依頼し、それを添付して婚姻届を提出すれば離婚後100日が経過する前でも再婚が可能です。
証人が必要な協議離婚をあきらめて、もともと証人の不要な調停離婚で離婚するのも一つの方法かと思います。
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