任意認知とは、法律上の婚姻関係にない男女間に生まれた子(非嫡出子)について、子の父が、任意に、父子関係があることを認め、法律上の父子関係を成立させることをいいます。
1 任意認知とは
認知とは、非嫡出子について、その子と父の法律上の父子関係を成立させることをいいます(民法779条。詳しくは、認知・認知請求の解説を参照ください)。
任意認知とは、子の父が任意で認知することをいいます。これに対する認知の方法として、強制認知があります。
2 任意認知の基本的知識
任意認知は、意思能力があれば、未成年者や成年被後見人であっても、法定代理人の同意なく、認知することができます(同780条)。
任意認知は、認知届を、役所に提出することによって行います(同781条1項。詳しくは、3で解説します)。
任意認知は、遺言ですることも可能です(同条2項)。
成年である子を認知する場合、その子の承諾が必要です(同782条)。
胎児を認知することも可能であり、その場合、母の承諾が必要です(同783条1項)。
死亡した子の認知は、その子に子や孫(父にとっては孫・ひ孫)がいる場合のみ、行うことができます。この場合、死亡した子の子や孫が成年であるときは、その子や孫らの承諾を得る必要があります(同条2項)。
任意認知を取り消すことはできません(同785条)。もっとも、血縁関係・血のつながりがない子の認知は無効であり、この場合、認知無効を主張することはできます(同786条、最判平成26年1月14日)。
3 任意認知の方法・認知届の出し方
3-1 届出人
子の父が届出人となって、任意認知します。
遺言による認知の場合、遺言執行者が届出人となります。
3-2 任意認知の届出期間
任意認知に、届出期限はありません。ただし、先に述べたとおり、任意認知を届け出るタイミングによって、子や母などの承諾書が必要となります。
遺言による認知の場合、遺言執行者就任の日から10日以内に、認知届を出す必要があります。
3-3 任意認知の届出先
認知届は、父の本籍地又は住所地、又は、認知される子の本籍地の市区町村役場に、提出します。
遺言による認知も同様ですが、胎児を認知する場合は、認知される胎児の母の本籍地に提出します。
3-4 任意認知の必要書類・持ち物
- 認知届:役所の窓口で用紙をもらえます。認知届の用紙をダウンロードできるようにしている市区町村もあります。
- 印鑑:認め印可。実印である必要はありません。役所の窓口に持参してください。
- 父又は子(胎児認知の場合は母)の戸籍謄本各1部:本籍地以外で届出をするときに必要です。
- 届出人の本人確認書類:運転免許証、旅券(パスポート)など
- 承諾書:先に述べたとおり、成年の子や胎児を認知するケースで、各承諾書(認知届の「その他」欄に、承諾者が承諾する旨記載し、署名押印する方法でも可)が必要です。
- 遺言の謄本:遺言による認知の場合に必要です。
認知届(画像)はこちらです
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