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離婚のよくあるご質問
離婚などの調停で相手方に住所や勤務先を知られたくないときの対処法は?

離婚などの調停で相手方に住所や勤務先を知られたくないときの対処法は?

離婚などの家事調停で相手方に住所や勤務先など、知られたくない情報があるときは、非開示の希望を申し出ることができます。また、事件を弁護士に依頼して、代理人弁護士の事務所所在地を当事者の住所欄に記載するなどの方法もあります。

1.家事調停での基本的な情報の取り扱い

離婚などの家事調停において、調停申立書や当事者が提出する書類、裁判所が作成する書類には、当事者の氏名、生年月日、本籍や住所、勤務先などの個人情報が多く記載されています。

家事調停事件は、非公開手続きであり、事件に利害関係のない方は、これらの記録を閲覧(見る)・謄写(コピー)することができません。

けれど、離婚調停などの家事調停の申立書は、原則として、相手方に送付されます(家事手続法256条第1項)。

また、当事者や利害関係人は、家庭裁判所の許可を得ることにより、申立書を含めた家事調停事件の記録を閲覧・謄写ができます(同法254条第1項)。

2.非開示希望を申し出る

2-1.非開示希望の申出とは

事件の当事者や利害関係人に対しても、住所や勤務先などを知られたくないという場合に、家事調停申立書を例外的に相手方に送付しないよう希望を申し出る、また、家事調停事件の記録を閲覧・謄写させないよう希望を申し出ることができます。

このような申出のことを非開示希望申出といいます。

2-2.非開示希望申出の方法 名古屋家庭裁判所の場合

2-2-1.非開示希望申出書を作成

相手方に住所や勤務先など知られたくない情報がある場合、まず、非開示希望申出書を作成します。

名古屋家庭裁判所のホームページから書式をダウンロードできます。

記載する内容は、以下のとおりです。

  • 非開示を希望する範囲(全部か一部か)
  • 非開示を希望する理由(自分や第三者の私生活や仕事の平穏、子どもの利益が害されるおそれがあるなど、項目を選択できるほか、その詳細をできる具体的に記載する)

非開示希望申出書は、事件ごとに作成する必要があります。

例えば、離婚調停で提出済みであっても、婚姻費用分担調停や面会交流調停などの関連事件を別に行う場合は、改めて提出する必要があります。

2-2-2.非開示希望申出書をホチキス留めする

さらに、非開示希望申出書は、非開示を希望する書面ごとに、その書面の直前に、ホチキスなどで留めて提出します。

さきほどの例で、離婚調停の申立書で提出済であっても、別の書類を出す際、その書類について非開示を希望するならば、その書面の直前に非開示希望申出書を留めて提出しなければなりません。

2-2-3.非開示を希望する情報にマーカーを引く

裁判所に提出する書類の一部について非開示とすることを希望する場合、非開示にしたい部分を、マーカーで色づけします。

このとき、例えば、住所を知られたくない場合、その住所を特定するのにつながる情報(通院先や通学先、銀行の支店名など)が含まれていないかを確認し、それらの情報も色づけしておきましょう。

2-3.非開示希望を申し出た結果

当事者から非開示希望が申し出られていることを踏まえて、裁判官又は調査官が、調停申立書を相手方に送付するか否か、事件記録の閲覧・謄写を許可するかどうか判断します。

必ずしも希望が通るわけではないことに、注意が必要です。

3.非開示希望以外の方法

3-1.事件を弁護士に依頼する

離婚調停などの家事調停を申し立てる際、相手方に住所を知られたくない場合の対処方法として、代理人弁護士を選任し、当事者の住所欄に、法律事務所の所在地を記載するという方法が、実務上、認められることがあります。

3-2.書類の記載方法を工夫する

離婚調停などで別居しているけれども住民票を移していない場合には、住民票上の旧住所を申立書などに記載し、現住所を載せない方法もあります。

ただし、この場合、裁判所から郵送されてくる書類を受け取るため、裁判所に書類の送付先を届け出ておく必要があります。この届出書も、閲覧・謄写の対象になりますので、注意が必要です。

3-3.知られたくない情報を黒塗りし、コピーして提出

前述のとおり、非開示希望の申出は、必ずしも通るわけではなく、裁判官等の判断によります。絶対に知られたくない情報が記載された書面を提出する場合、その部分を黒塗りして提出する方法もあります。

例えば、3-1や3-2の方法で現住所の記載を回避したにもかかわらず、収入資料として源泉徴収票を提出しなければならない場合など、住所を黒塗りしてコピーを提出します。

 

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