家庭裁判所から書類が封書で送られてきた。離婚調停期日に家庭裁判所に来るよう書かれている!
離婚調停を申し立てられた方は、離婚調停手続きでは、相手方と呼ばれます。
今回は、離婚調停を申し立てられた方、離婚調停の相手方に向けて、調停期日通知書(呼出状)を受け取ってから、第1回調停期日までにやるべきこと、やってはいけないこと、調停を欠席する場合の対処法などをお伝えします。
1.離婚調停を申し立てられた場合のおおまかな流れ
離婚調停の相手方は、一般的には、家庭裁判所から離婚調停の期日通知書(いわゆる呼出状)を受け取って初めて離婚調停を申し立てられたことを知ります。
離婚調停を申し立てられた、相手方の場合の第1回離婚調停期日までのおおまかな流は、次のとおりです。
- 離婚調停の期日通知書を受け取る
- 調停期日を確認し、スケジュールを調整する
- 同封されていた各種書類(回答書、事情説明書、進行連絡メモなど)を提出する
- 調停期日に出頭する
以下、家庭裁判所からどのような書類が送られてきて、何を確認し、返送又は提出するのか、離婚調停期日までにするべき準備など、お伝えしていきます。
2.家庭裁判所からの書類を受け取る
離婚調停が申し立てられると、相手方に対し、期日通知書が送付されます。
期日通知書は、家庭裁判所名の書かれた封筒に入れられて送られてきます。
封筒には、期日通知書のほか、関係書類が同封されています。
以下は、実際に、ある事例で、名古屋家庭裁判所に離婚調停を申し立てられた方宛に、名古屋家庭裁判所から送付された書類の一覧です。
- 期日通知書:後述します
- タイトルなしの書類:書類の提出依頼、返送方法や提出した書類の取扱いなどの案内文
- 名古屋家庭裁判所の周辺地図、住所や交通アクセス
- 家事調停について(一般調停)(ご案内):家事調停の一般的な流れなどの案内文
- 夫婦関係調整調停について(ご案内):離婚調停の案内文
- 未成年の子のいる方へ(ご案内):離婚調停で未成年の子がいる場合の注意事項や案内文
- 進行連絡メモ(相手方):後述します
- 事情説明書(相手方):後述します
- 回答書:後述します
- 連絡先等の届出書(□変更届出書):後述します
- 裁判所に書類を提出される方へ:書類の作成・コピー・提出方法などの案内文
- 非開示希望申出書:後述します
- ガイダンス お子さんに配慮した話合いに向けて
- 調停申立書のコピー
- 返信用封筒
3.離婚調停の期日確認、スケジュールを調整する
家庭裁判所から書類を受け取ったら、まずは、期日通知書を確認しましょう。
期日通知書には、
- 事件番号
- 事件名(離婚調停の場合、夫婦関係調整(離婚))
- 申立人氏名
- 相手方氏名
- 家庭裁判所内の担当部や担当係、書記官、電話番号、FAX番号
- 調停の期日と場所
- その他、調停期日に家庭裁判所に来庁するよう案内
が書かれています。
離婚調停は、当事者の話し合い・合意によって、離婚を目指す手続きであり、本人に出頭義務があります。
期日通知書に記載の調停期日を確認し、出席できるようスケジュールを調整しましょう。
(どうしても都合がつかない、行けない場合の対処法は後述します。)
4.書類を提出
4-1 返送・提出すべき書類の作成・収集
期日通知書に同封されている書類の中に、必要事項を記載して返送・提出することが求められる書類があります。
上記の一覧の中では、□進行連絡メモ、□回答書、□事情説明書について、調停期日の2週間前までに返信するよう指示がありました。
提出期限に間に合うよう、書類を作成、提出します。
4-1-1 進行連絡メモ(非開示)
離婚調停を進めるにあたって、家庭裁判所が参考となる情報を把握するための書類です。
職業や勤務先、電話連絡の取りやすい時間帯や調停期日を進めていく上で不都合な曜日などを、家庭裁判所に伝えることができます。
申立人に開示されることはありません。
4-1-2 回答書・事情説明書(開示対象)
同封されている離婚調停申立書のコピーを読んだ上で、相手方の意見・主張として、回答書(答弁書と題されている場合もあります)を作成します。
※すべての事件について離婚調停申立書のコピーが同封されているわけではありません。離婚調停申立書のコピーが同封されていない場合、回答書の提出は求められないことが多いです。
事情説明書には、離婚調停に至った事情・いきさつ・話し合いの状況や予想される争点、離婚の意思の有無などを記載します。
ただし、いずれの書類も、概要を記載すれば足ります。詳細は、離婚調停に出席した上で、調停委員に、口頭で伝えればよいためです。
相手方の意見・主張を裏付ける資料の提出を求められることもあります。
4-1-3 家計状況説明書(開示対象)
離婚調停で、婚姻費用や養育費を話し合う場合、提出を求められることが多いです。
おおよその月収や支出を記載します。
給与明細や所得証明書など、家計を裏付ける資料の提出を求められることもあります。
4-1-4 連絡先等の届出書(変更届出書)(開示対象)
家庭裁判所から送付される書類の送付先について、期日通知書の送付先住所以外の住所に変更したい場合、提出します。
4-2 書類を見られたくない場合
事件の当事者や利害関係人は、家庭裁判所の許可を得て、当事者が家庭裁判所に提出した書類などその事件の記録を、見ることができます。
書類を作成する際は、相手(申立人)が見る可能性があることを踏まえて、作成しましょう。
自分が家庭裁判所に提出する書類で、相手にみられたくない書類や情報がある場合、そのような情報を記載した書類ごとに、非開示希望申出書を作成、添付しましょう。
関連記事:離婚などの調停で相手方に住所や勤務先を知られたくないときの対処法は?
関連記事:離婚の用語集「非開示希望の申出」
4-3 書類の提出方法
家庭裁判所へ書類を提出したい場合、家庭裁判所の窓口に持参する、担当書記官宛に郵送送付する、FAXで送信するなどの方法があります。ただし、署名や押印が必要な書類をFAXで送信した場合、調停期日に、原本を持参するようにしましょう。
5.離婚調停期日までにするべきその他の準備、してはいけないこと
5-1 離婚調停を知る
離婚調停とは何か、どのような手続きなのか、よく理解した上で、調停に出席するのがよいでしょう。
あまり理解せず出席して、不利な状況に陥るのは得策ではありません。
期日通知書に同封の案内文をよく読む、弁護士や法律事務所の法律相談、無料相談を活用するなどして、円滑に離婚調停が進められるよう準備するとよいでしょう。
5-2 申立人への連絡は避ける
離婚調停を申し立てたということは、家庭裁判所での話し合いを希望するという申立人の意思の表明です。
それを無視・軽視して、家庭裁判所を通すことなく、申立人に連絡、会いに行くことは避けましょう。このような行動は、事案によっては、相手方に大変不利になる可能性があります。
離婚調停前にどうしても申立人と連絡を取りたい場合、次のような方法があります。
- 家庭裁判所に連絡、申立人が代理人弁護士を選任していないか確認し、選任している場合、代理人弁護士宛に連絡する
- 相手方の弁護士を選任の上、代理人弁護士から、申立人に連絡を取ってもらう
6.調停期日に出頭する
6-1 指定された時間・場所に、必要書類等を持参
離婚調停の相手方は、期日通知書に記載された時間、場所に、案内された持ち物(期日通知書、印鑑、本人確認書類)を持って、離婚調停に出席します。
離婚調停当日の進め方、流れ、持ち物や服装は、申立人・相手方とも基本的には同じです。
関連記事:自分でできる離婚調停-調停当日の持ち物や服装、親や子どもの同席・付き添い
関連記事:自分でできる離婚調停-調停で話すこと、期間、日程変更、延期など
をご参照ください。
6-2 第1回離婚調停に行けない・欠席する場合
第1回目の調停期日は、相手方のスケジュールを踏まえて日程調整されているわけではありません。日程変更してもらえなければ出席できないこともあるでしょう。
そのような場合の対処法を、詳述します。
関連記事:離婚調停の日程変更、延期はできますか?欠席するとどうなりますか?
6-2-1 家庭裁判所に連絡する
第1回の離婚調停に行けない場合、事前に、家庭裁判所の担当書記官に、調停期日を欠席する旨連絡しましょう。
その際、第2回の離婚調停期日の希望日、出席可能な日時を複数伝えて、2回目以降は出席できるよう調整してもらいましょう。
第2回以降の調停期日を調整するため、当日連絡とれる連絡先を伝えておくのもよいでしょう。
6-2-2 書類を提出しておく
上記4の書類を遅くとも第1回調停期日に間に合うよう提出しておきましょう。
書類を提出しておけば、相手方の意見や主張を伝えることができます。
名古屋家庭裁判所の進行連絡メモには、“第1回期日に出席できない特別の事情”を書く欄もあります。
6-2-3 代理人弁護士のみ出席する
先に述べたとおり、離婚調停には本人が出席する義務があります。もっとも、やむを得ない事情があって本人が出席できない場合、代理人弁護士を出席させることができます。
離婚調停までに代理人弁護士を選任し、第1回調停期日は、代理人弁護士のみ出席してもらうのもよいでしょう。
6-2-4 日程変更・延期をお願いする
第1回離婚調停の日程変更・延期を、担当裁判官に上申(お願い)する方法も考えられます。
7.まとめ
離婚調停を申し立てられた方、離婚調停の相手方に向けて、自分で第1回離婚調停に出席するための準備などをお伝えしました。
記事にも書きましたが、離婚調停を申し立てられた場合、離婚調停の準備として、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に依頼すれば、やむを得ない事情で離婚調停に出席できない場合には代理人弁護士のみ出席してもらえるなどのメリットもあります。
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