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自分でできる離婚調停-離婚調停申立書の書き方、書式の入手方法や記載例

自分で離婚離婚をすすめたい方に、弁護士が離婚調停申立書の書き方をご紹介
離婚の協議ができなかった、夫婦の話し合いでは離婚ができなかったなどの場合、離婚調停を申し立て、調停離婚を目指します。
今回は、自分で離婚をすすめたい方に向けて、離婚調停を申し立てる際の基本的な書類である離婚調停申立書の書き方をお伝えします。

離婚調停の申し立ての必要書類、添付書類、費用(印紙や切手)、申立先や提出方法(郵送又は窓口提出)などは、・自分でできる離婚調停-離婚調停を申し立てるでお伝えしていますので、そちらを参照ください。
また、・名古屋家庭裁判所に離婚調停を申し立てる場合のチェックリスト・必要書類一覧も参照ください。

1.離婚調停申立書の書式

1-1 離婚調停申立書の書式

離婚調停申立書の書式は、様式が法定されていません。

必要事項を記載すれば、どのような書式を用いても、たとえば、すべて手書きの申立書であっても、受付されます。

もっとも、家庭裁判所で、全国的に使用可能な定型書式を入手することができます。

定型書式では、氏名や住所などの基本事項を記入するほかは、あてはまるものに☑や○をつければよい仕様になっており、とても簡単に離婚調停申立書を作ることができます。

自分で離婚調停を申し立てる場合、家庭裁判所の書式を利用することをお勧めします。

1-2 離婚調停申立書はどこで入手・ダウンロードするか

離婚調停申立書の書式は、家庭裁判所の事件受付窓口などで、受け取ることができます。事件受付窓口付近に、備え付けられている場合もあります。

また、家庭裁判所のホームページから入手・ダウンロードすることもできます。

裁判所のホームページ(全国共通)から書式をダウンロードする

http://www.courts.go.jp/saiban/syosiki_kazityoutei/syosiki_01_23/index.html

1-3 提出先の家庭裁判所から入手する

家庭裁判所は全国各地にあり、裁判所のホームページには、各家庭裁判所が、それぞれ裁判手続きを案内するページがあります。

そして、一部の家庭裁判所、特に、事件の取扱い件数が多い裁判所では、多数の事件を円滑に対応するなどのために、独自の附属書類を求める場合があります。

離婚調停申立書の書式は全国共通ですが、事情説明書や連絡先の届出書、申立付票などの附属書類、それらの書式やそれらを記載する際の注意事項・説明文は、家庭裁判所によって異なる場合があります。

そのため、ご自分の離婚事件を管轄する家庭裁判所(離婚調停申立書を提出する先の家庭裁判所)のホームページから、離婚調停の申立書類一式をダウンロードして入手するのがよいでしょう。

名古屋家庭裁判所の書式をダウンロードする

http://www.courts.go.jp/nagoya-f/saiban/tetuzuki/l4/Vcms4_00000146.html#tyoutei

東京家庭裁判所の書式をダウンロードする

http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/syosiki02/index.html

大阪家庭裁判所の書式をダウンロードする

http://www.courts.go.jp/osaka/saiban/l3/l4/Vcms4_00000462.html

1-4 ワード又はPDF

裁判所ホームページ(全国共通)からは、PDF形式の書式のみダウンロードできるようになっています。

名古屋家庭裁判所のホームページからは、ワード又はPDF、いずれかの形式を選択して離婚調停申立書をダウンロードすることができます。

管轄が名古屋家庭裁判所以外の場合でも、申立書の書式は全国共通ですから、ワードを希望する場合は、名古屋家庭裁判所のホームページから入手するとよいでしょう。

1-5 記載例も入手する

先に述べた裁判所のホームページから、離婚調停申立書の記載例もダウンロードすることができます。

記載例には、書き方の例のほか、記入の際の注意事項なども書かれていますから、書式と併せてダウンロードするとよいでしょう。

2 離婚調停申立書を記入する際の注意事項

離婚調停申立書の書き方をお伝えする前に、離婚調停申立書を書く際の注意事項をお伝えします。

2-1 離婚調停申立書の写しは相手方に送付される

最も注意していただきたい点は、離婚調停申立書(写し・コピー)は、相手方に送付されるということです。

そのため、次のような点に注意が必要になります。

2-2 相手方に住所を知られたくないときは注意が必要

後に述べるとおり、離婚調停申立書には、申立人や未成年の子の住所を記載する必要があります。

自分や子どもの住所を相手方に知られたくないケースで、特段手続きをしないまま申立書に住所を記載して提出すると、相手方に住所を知られてしまいます。

非開示希望の申出など、適宜の方法を取りましょう。

関連記事:・離婚などの調停で相手方に住所や勤務先を知られたくないときの対処法は?

2-3 相手方が読むことを意識する

離婚調停申立書は、家庭裁判所からの封書で送付され、相手方は、多くの場合、この封書を開いて初めて、離婚調停が申し立てられたことを知ります。

そのような相手方が読む文書であることを意識して、申立書を記載しましょう。

虚偽の事実を記載するほか、養育費、財産分与や慰謝料などについて、実態とかけ離れた、相場を大きく上回る過大な請求をすると、相手方の感情を無用に害してしまい、離婚調停が円滑に進まないなどの弊害が生じることがあります。

仮に、調停中に、話し合いや交渉の成り行きで減額する認識であったとしても、申立書の記載から、そのような意図をくみ取ることは困難です。

特に希望する条件や譲れない離婚条件はそのまま記載すべきですが、相場の範囲内で収める条件については、後に述べるとおり、「相当額」に☑するとよいでしょう。

2-4 離婚調停申立書には、詳細を書かなくていい

離婚調停申立書の定型書式を見れば分かるとおり、申立書には、離婚条件や離婚の経緯などを細かく書く欄はありません。

具体的かつ詳細な事実や条件は、離婚調停の中で、調停委員に伝えれば足りるからです。

申立書には、その調停で話し合う概要、テーマを、記載すれば十分です。

2-5 離婚裁判では離婚調停申立書も証拠になる

離婚調停で離婚が成立するとは限りません。

調停離婚が成立しなければ、離婚裁判となり、離婚裁判では、離婚調停申立書も重要な証拠となり得ます。

申立書にうそや虚偽の事実を記載すると、離婚裁判で不利に働く可能性があります。離婚申立書には、事実を記載しましょう。

3 離婚調停申立書の書き方

3-1 太枠内を、黒のペン又はボールペンで書く

離婚調停申立書の定型書式を準備したら、書式の太枠内の項目について、黒のペン又はボールペンで、記入していきます。鉛筆や消せるペンは使用できません。

3-2 事件名、裁判所名、日付、申立人の記名押印、添付書類

まず、文書タイトル「夫婦関係等調停申立書」と書かれた右横の事件名の()内に、「離婚」と記載します。

次に、宛名欄に、離婚調停の申し立て先、管轄の家庭裁判所名を記入します。

そして、日付欄に、離婚調停申立書を提出する日を記載し、申立人の記名押印欄に、申立人の氏名を記名、押印(認め印可)します。

添付書類欄は、離婚調停申立書に添付する書類に、☑をいれます。

離婚調停では、夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)は、必ず添付する必要があります。

3-3 申立人、相手方、未成年の子

申立人及び相手方の本籍(外国人の場合は国籍のみ)、住所、氏名(フリガナも)、生年月日と年齢を、記載します。戸籍謄本に記載のある事項は、戸籍謄本のとおりに記載してください。

未成年の子がいる場合、未成年の子全員について、同様に記載します。未成年の子の住所について、申立人と同居、相手方と同居、その他のいずれかに☑をいれ、その他の場合は、住所を記載しましょう。

3-4 申立ての趣旨

離婚調停では、右側の「関係解消」欄を使用します。

まず、「1 申立人と相手方は離婚する。」の「1」の部分に○をつけます。

そのほかに離婚調停で話し合いたいこと(付随申立て)について、該当する(1)から(7)の番号に○をつけ、それぞれの空欄に、自分の希望を記入します。

詳細は、離婚調停が始まってから伝えればよく、申立ての趣旨欄には、概要を記載すれば足ります。

(1) 親権者

未成年の子の名を、父又は母欄のいずれか親権者として希望する方に書きます。子の名の前に、「長男○○」「長女○○」などと続柄を付けるのが一般的です。

(2) 面会交流

申立人又は相手方いずれかに☑します。

(3) 養育費

未成年の子の養育費を1人当たり毎月いくらにするか、希望の金額を記入します。明確な金額を記入することが難しい場合、相当額に☑します。

(4) 財産分与

財産分与として支払ってほしい金額を記入します。明確な金額を記入することが難しい場合、相当額に☑します。

財産分与が不要な場合や申立人が財産を分与する側(金銭等を支払う立場)の場合、(4)には○をつけないようにします。

(5) 慰謝料

(4)と同様です。

(6) 年金分割

年金分割について、希望する按分割合を書きます。按分割合は、最大で0.5であり、かつ、特別な事情がない限り、原則として0.5とするのが家庭裁判所の通例です。

特別な事情がない限り、0.5に☑をしましょう。

なお、専業主婦やパート勤務であったことのみでは、特段の事情にあたりません。

(7) その他

(1)から(6)の項目以外で離婚調停に付随して相手方と話し合いたいことや、(1)から(6)の項目で定型の書式・文書ではうまく記載できないことなど、この欄に自由記入することができます。

3-5 申立ての理由

まず、相手方と同居を始めた日と、別居をした日を記入します。

同居と別居を繰り返しているときは、最初に同居をした日(婚姻前も含みます)と、最後に別居した日を記入します。

次に、申立ての動機、つまり、相手方と離婚したい理由について、あてはまる番号に○をつけます。複数回答が可能で、そのうち最も重要な理由には◎をつけます。

4 まとめ

自分で離婚をすすめたい方に向けて、離婚調停申立書の書式の入手方法、離婚調停申立書の書き方や書くときの注意事項をお伝えしました。

家庭裁判所の定型書式をダウンロードすれば、簡単に離婚調停申立書を作成できることが、お分かりいただけたかと思います。

もっとも、相手に自分や子どもの住所を知られたくない場合などでは、手続きが必要ですし、そのような相手とのやりとりでは、代理人弁護士をつけた方がいいでしょう。

そうでない場合でも、弁護士に相談しながら、離婚調停申立書を書くことをおすすめします。

 

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