今回は、自分で離婚をすすめたい方に向けて、離婚調停で話すことや聞かれること、してはいけない不利な発言や有利に進めるコツなど離婚調停の内容について、また、離婚調停の期間や回数、早く終わらせるコツ、日程変更や延期したい場合などスケジュールに関することを、詳しくお伝えします。
なお、離婚調停の当日の流れ、持ち物や服装、メモを取ることや心構え、親の同席・付き添い、お子様連れで家庭裁判所へ行く場合の注意事項などについては、離婚調停の進め方①で詳しくお伝えしていますので、そちらを参照ください。
目次
1.離婚調停で話すこと、聞かれること
離婚調停は、家庭裁判所で、調停委員を介して離婚を話し合い、当事者の意思によって、離婚の成立を目指す手続きです。
ですから、離婚調停で話すこと、聞かれることをシンプルにまとめると、
・離婚の意思があるかないか、条件次第か
・どのような離婚条件を希望するか
ということになります。
また、離婚調停は、話し合って、合意を目指す手続きですから、話し合いの中心となるのは、双方の意見・主張に食い違いがある部分(争点といいます)です。
例えば、双方が離婚に同意しつつ、親権を争っているため離婚調停に至ったケースでは、何故離婚したいかなどの離婚の経緯や離婚理由よりも、どちらが親権者として相応しいかということを中心に話し合われます。
1-1 離婚が争点の場合
・離婚調停に至った経緯
・現在の生活状況(別居の有無や期間、夫婦の交流の有無や程度など)
・離婚したい理由・したくない理由(浮気・不倫、DV、性格の不一致など)
1-2 財産分与が争点の場合
・財産分与の対象となる財産(何が、どこに、いくらあるかなど)
・財産分与の方法(どのように分けるかなど)
1-3 親権・監護権、面会交流、養育費が争点の場合
・現在の監護状況
・離婚後に想定される監護状況
・面会交流の実施状況
・夫婦の財産及び収入状況
1-4 慰謝料が争点の場合
・不倫(浮気や不倫)やDVなど慰謝料が発生する根拠となる事実
・慰謝料金額や支払い方法
2.してはいけない不利な発言・有利に進めるコツ
2-1 自分の意見・主張を調停委員に理解してもらう
離婚調停では、調停委員を介して離婚を話し合います。
自分が話したことが、相手に直接伝わるのではなく、調停委員の声・言葉で伝わることになります。
自分の言いたいことを、間に入っている調停委員にその内容を理解してもらえないままでは、相手には伝わりません。
できるだけシンプルに、要領を得て話しをし、まずは、調停委員に、自分の意見・主張をしっかり理解してもらいましょう。
2-2 調停委員を味方につける
調停委員は、当事者に話しを伝えるだけの使者ではありません。当事者の合意の成立を目指して、各員の知識や経験に基づいて、当事者を説得するなどします。
離婚調停では、できるだけ自分の意見・主張にそうように、相手を説得してもらえるよう、調停委員を味方につけるといいでしょう。
2-2-1 正当性・妥当性を理解してもらう
調停委員を味方につける上で、自分の意見・主張の正当性・妥当性を理解してもらうことは、もっとも重要といえるでしょう。
食い違う当事者の意見・主張をまとめようとする際、より正当で、妥当な意見を主張している方に合わせようとするのが、通常だからです。
2-2-2 嘘をつかない、暴言を吐かない
離婚調停で、嘘をつくと、自分の意見・主張の正当性、妥当性を失わせることになりかねません。
一般的に、嘘をつく人の味方をする気にはなりませんし、調停委員は、嘘と分かっている事実に基づいて、相手を説得することはありません。
また、長時間・長期間におよぶ離婚調停の中で、調停委員の発言や態度に感情的になる場面もあるかもしれません。しかし、調停委員は、相手方でありませんし、調停委員と対立することは得策ではありません。調停委員に暴言を吐くなど、調停委員と対立しないようにしましょう。
2-3 譲歩するタイミング・内容を見極める
離婚調停は話し合いで合意を目指す手続きですので、まったく合意する気がないケースでは必要ありませんが、合意を目指す上では、ときには自分が折れなければならない場面もあるでしょう。
そのような場合、自分が折れるタイミングや譲歩する内容が大切です。
なぜなら、調停委員は、説得しやすい方から説得することがあるからです。
あまり早い段階で、最大限の譲歩をしてしまうと、調停委員から、この人は説得しやすいと思われかねません。
相手に対する説得が十分に行われ、相手ももうこれ以上譲歩することはないだろうなどというタイミング・内容を見極めて、譲歩するとよいでしょう。
3.離婚調停のスケジュール(期間や回数)
離婚調停が申し立てられてから成立するまで、おおむね次のようなスケジュールで進みます。
3-1 離婚調停の申し立て~第1回離婚調停まで
離婚調停が申し立てられると、担当の裁判官や調停委員が決定され、調停委員や調停室と申立人側とスケジュール調整が行われた上、第1回調停期日が決定されます。
その上で、相手方に呼出状(調停期日通知書)が送られます。
このように、担当決めや第1回調停日の調整及び決定、相手方への呼出状の送付などのために、離婚調停の申し立てから第1回離婚調停まで、1ヶ月~1ヶ月半程度要します。
3-2 第1回離婚調停から調停終了までの期間や回数
2回目以降の調停の日時は、前回の調停終了時に、当事者及び調停委員らの日程を調整の上、決められます。
離婚調停を含めた家事調停は、家庭裁判所が取り扱う件数も多く、調停室の空きがない、調停委員や当事者間のスケジュールが合わないなどの理由のため、通常、1ヶ月~1ヶ月半に1回程度のペースで開かれます。
相手の欠席が続く、また、当事者の意見の食い違いが大きく当初から合意成立の見込みがほとんどない場合などは、1~3回程度で終了することが多いです。
そうでない場合、合意が成立するまで、あるいは、これ以上調停を重ねても合意が成立する見込みがないと判断されるまで、調停が続けられます。
期間としては、概ね半年程度ですが、争点が多い場合など、事案によって1年程度かかる場合もあります。
4.離婚調停を早く終わらせるコツ
4-1 不成立を目指す場合
離婚調停を不成立で早く終わらせたい場合、調停委員に対し、譲歩の余地が全くないことを示すことが大切です。
4-2 成立を目指す場合
離婚調停を早く成立させたい場合、調停期日を出来るだけ早い日程で調整する、家庭裁判所や相手方からの依頼事項に素早く対応する、争点を意識して、無駄な駆け引きをせずに当初から妥当な解決案を提示する、などの方法があります。
5.調停期日を日程変更・延期したい、欠席するときは
離婚調停の調停期日は、家庭裁判所側(調停室の空き状況、担当裁判官(1名)及び担当調停委員(2名以上)のスケジュール)と申立人側(本人及び代理人弁護士のスケジュール)、相手方側(申立人側同様)の調整を踏まえて、担当裁判官が決定します。
大勢の調整を経て決めた以上、安易に変更や延期することは相当ではありません。
しかし、ケガや病気など、どうしても欠席せざるを得ない、出席できないこともあるでしょう。
そのような場合、代理人弁護士を選任し、代理人弁護士のみ出席してもらう方法があります。
また、担当裁判官に、調停期日を変更・延期してほしい旨お願いし、日程変更してもらう方法もあります。この場合、調停期日を変更する「顕著な事由」が必要ですが、他方当事者が日程変更に同意または異議を述べないことは、この「顕著な事由」の判断要素の1つとなります。
これらの方法がどうしても叶わず欠席する場合、必ず事前に担当の裁判所書記官に連絡を入れましょう。
無断欠席すると、調停成立の見込みがないとして、調停が終了されてしまうこともあります。
また、離婚調停を正当な理由なく行かない、出ない場合、過料の制裁が科される可能性があります。
6.まとめ
自分で離婚をすすめたい方に向けて、離婚調停で話すことや聞かれること、してはいけない不利な発言や有利に進めるコツをお伝えしました。
また、離婚調停のスケジュール(期間や回数)、早く終わらせるコツ、期日を変更・延期したい場合なども、お伝えしました。
離婚調停を有利に進めるためには、自身の主張・言い分が正当であり、妥当であることを、調停委員に理解していただくことが大切であることが、お分かりいただけたかと思います。
また、離婚調停は、期日の変更や延期が難しく、その場合、代理人弁護士に出頭してもらった方がよいことも、お分かりいただけたかと思います。
離婚調停を進めていく上で、自身の意見・主張の正当性、妥当性を確認しておきたい、いざとなったら事件を依頼して代理人弁護士に出席してほしいなどあれば、当事務所の弁護士にご相談ください。当事務所では、弁護士に継続的に電話で相談しながら、自分で離婚調停をすすめつつ、いざとなったら離婚調停を割引価格でご依頼いただけるサービスがございます。ぜひ、ご活用ください。