非嫡出子とは、法律上の婚姻関係にない男女間に生まれた子をいいます。
解説
1 非嫡出子とは
法律上の婚姻関係にない男女間に生まれた子を、非嫡出子といいます。一般的には、婚外子などと呼ばれています。
これに対し、法律上の婚姻関係にある男女間に生まれた子を、嫡出子といいます。
2 非嫡出子と認知
非嫡出子は、父又は母が認知することができます(民法779条)。
認知によって、法律上の親子関係が認められます。具体的には、扶養義務や相続権など、法律上の権利義務が発生します。
なお、認知の効力は、子の出生の時にさかのぼります(同784条)。
母は、出産の事実により親子関係が明らかであり、子の出生届を出すことで、認知したものとされます。
嫡出子は、母の氏を称することとされています(同790条2項)。
これに対し、父の認知については、父が任意で行う認知と、裁判手続きによる強制認知があります(詳しくは、認知の解説を参照ください)。
なお、父が認知した場合でも、父と母が婚姻しない限り、嫡出子となるわけではありません(同789条1項)。
3 非嫡出子の法定相続分
非嫡出子の法定相続分について、かつて民法では、嫡出子の2分の1とされていました(旧法900条4号但し書き)。
しかし、平成25年9月4日、最高裁判所において、このように嫡出子であるか非嫡出子であるかによって法定相続分が異なることは、平等原則を定めた憲法に14条に反し、違憲であると判断されました。
最高裁の違憲判決を受け、同年12月に民法が改正され、現在は、嫡出子も非嫡出子も、法定相続分は同じとなっています。
関連条文
民法779条
嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。
同784条
認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者が既に取得した権利を害することはできない。
同789条
第1項 父が認知した子は、その父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得する。
同790条
第1項 嫡出である子は、父母の氏を称する。ただし、子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏を称する。
第2項 嫡出でない子は、母の氏を称する。
同900条4号
子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。
改正前民法900条4号
子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。
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