財産分与は、まずは夫婦の話し合いで決めますが、決められない場合は、家庭裁判所に決めてもらうことができます。
家庭裁判所での手続きについて、離婚時の財産分与は、離婚調停、離婚裁判の流れになります。他方、離婚後の財産分与は、通常、財産分与調停、財産分与審判の流れになります。
目次
1 財産分与は夫婦の協議・話し合いが優先
夫婦は、協議、話し合いによって、婚姻中に協力して形成した財産を分与することができます(民法768条1項)。
財産分与について、夫婦で協議が調わない、協議ができないときは、家庭裁判所に決めてもらうこともできます(同条2項)。
したがって、財産分与は、まずは、夫婦の話し合いで決め、夫婦が話し合っても決まらない、話し合いができない場合に、家庭裁判所に決めてもらうという流れになります。
2 家庭裁判所での財産分与
2-1 離婚時の財産分与と離婚後の財産分与
財産分与は、離婚成立後も、2年以内であれば、請求することができます(同条3項)。
離婚時に財産分与を行う場合と、離婚後に財産分与を行う場合で、家庭裁判所における裁判手続きの流れが変わります。
2-2 離婚時に財産分与する場合の流れ
離婚請求と同時に財産分与する場合、手続きの流れは、基本的に、離婚の流れと同様です。
具体的には、まず離婚調停を申し立て(調停前置主義)、調停が成立しなかった場合に、離婚裁判を提起するという流れです。
調停では、離婚やその他の離婚条件と併せて、財産分与も協議します。
離婚裁判では、離婚の訴えの附帯処分として、財産分与に関する処分を求めます。離婚訴訟を提起しても、附帯処分の申し立てがなければ、財産分与の処分がされません。
離婚調停の流れ、離婚裁判の流れは、別途、詳述のとおりです。
2-3 離婚後に財産分与する場合の流れ
離婚成立後に財産分与する場合、財産分与調停を申し立て、調停が成立しなかった場合、自動的に審判に移行し、審判で財産分与が決められます。
なお、財産分与請求は、調停前置主義はないため、調停を申し立てず、いきなり審判を求めることも可能です。
ただし、財産分与審判の申し立てについては、家庭裁判所の職権(判断という意味です)で、調停に付す(回すという意味です)ことができます。実務上は、審判に先行して当事者の話し合いを行うよう、調停に付されることが多いです。
財産分与調停の流れは、基本的には、離婚調停の流れと同様です。
3 財産分与審判の流れ
財産分与審判は、上記のとおり、財産分与調停が成立しなければ自動的に審判に移行するため、この場合、申し立て手続きは不要です。
審判に移行すると、審判期日が決められ、家庭裁判所での審理がスタートします。
審判は、当事者の主張や証拠、裁判所が調査した事実などをもとに、裁判所が処分を決める手続きです。
当事者は、各審判期日において、自身の言い分を主張、証拠を提出する必要があります。ただし、審判期日は、基本的には代理人弁護士のみが出席すれば足ります。
家庭裁判所が十分な審理が尽くされたと判断した場合、審理は終結し、審判をする日が定められます。
そして、審判の日に、審判書が作成され、当事者に告知されます。
審判に不服がある場合、審判の告知を受けた日から2週間以内に、即時抗告することができます。この間に即時抗告されなければ、審判が確定し、審判手続きは終了します。
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