自宅の財産分与は、住宅ローンの有無、オーバーローンか否か、自宅を売却するか夫婦のいずれかが所有し続けるのか等によって、財産分与の流れ、方法が異なります。
まずは、自宅の資産価値を把握し、住宅ローンがある場合は住宅ローン残高や契約内容を確認するところから始めるとよいでしょう。
目次
1.自宅マンション・持ち家の財産分与の流れ
1-1.自宅を売却する場合
自宅を売却して財産分与する場合、大まかな流れは、次のとおりです。
- 自宅の現在価値を把握
- (住宅ローンがある場合は住宅ローン会社と連絡を取り合いながら)自宅を売却する
- 売買代金から必要経費等を控除、住宅ローン債務を弁済する
- 残った売買代金を、財産分与割合に応じて分配する
1-2.自宅を維持する場合
自宅を夫婦のいずれかが所有し続けて財産分与する場合、大まかな流れは、次のとおりです。
- 自宅の現在価値を把握
- 自宅の取得者を決定し、必要に応じて名義変更する
- 自宅の取得者は、他方配偶者に対し、代償金を支払う
2.自宅の現在価値を把握する
自宅の現在価値は、評価方法・査定方法によって、価額が変わります。
財産分与にあたって、自宅マンション・持ち家をどのような方法で評価するかは、夫婦の合意で、自由に決めることができます。
2-1.不動産業者に査定してもらう
不動産の現在価値を把握する方法として、不動産業者に自宅を査定してもらう方法があります。
不動産査定を無料で受け付けている不動産業者も少なくありません。
より正確な価値を把握するため、複数の業者に査定してもらうとよいでしょう。
2-2.自宅の固定資産税評価額
固定資産評価額は、固定資産税の通知書や固定資産評価証明書を取得することにより、簡単にその評価額を把握することができます。
自宅を売却して財産分与する場合、実際の売却代金をもって財産分与しますし、売り出し価格や売却価格を決める際、参考額として利用することも考えられます。
他方、自宅を維持して財産分与する場合、自宅の現在価値を固定資産評価額で考慮するときは、注意が必要です。
固定資産税評価額は、固定資産税を算定するための価額であり、不動産の市場価格とはズレが生じる場合があるためです。
2-3.不動産鑑定士に不動産の鑑定を依頼する
不動産鑑定士に不動産の鑑定を依頼し、不動産鑑定評価額を算出してもらう方法もあります。
不動産鑑定士による不動産鑑定評価額は、客観性や評価額の相当性がある一方、鑑定費用がかかるというデメリットもあります。
財産分与審判や離婚訴訟では、不動産の評価方法に夫婦間で争いがある場合、不動産鑑定士に不動産を鑑定してもらう方法で、不動産の現在価値を把握します。
3.住宅ローン残額を把握する
自宅の財産分与では、住宅ローンの有無、住宅ローンの残額、オーバーローンかどうか(オーバーローンとは、不動産の価値よりローン残額が上回っていることをいいます。)によって、財産分与の方法が異なります。
そこで、住宅ローンが残っている場合は、住宅ローンの残額を確認しましょう。債権者(住宅ローン会社・金融機関)に、債務者本人が問い合わせ・照会すれば、ローン償還表、返済予定表などの書面で回答してもらえるのが通常です。
また、契約書等(手元にない場合は、債権者から写し等をもらってください)で、契約内容(債務者名・連帯債務者や連帯保証人の有無など)も合わせて確認するとよいでしょう。
4.その後の流れ・手続き
自宅の財産分与について、その後の流れと手続きについては、自宅を売却する場合と維持する場合とで、それぞれ詳述していますので、ご参照ください。
シリーズ記事:自宅マンション・持ち家の財産分与②自宅を売却して財産分与する方法は?
シリーズ記事:自宅マンション・持ち家の財産分与③自宅を維持したまま財産分与する方法は?
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