財産分与により、財産を譲り受けたとしても、原則として、贈与税はかかりません。
過大な財産分与や、贈与税を免れるために行われた財産分与と認められる場合、贈与税が課税されます。
1.財産分与は贈与ではない
財産分与とは、離婚する際、または、離婚後に、夫婦が婚姻中に協力して形成した財産を分与することをいいます。
財産分与(清算的財産分与)は、夫婦財産の清算として行われるものであり、贈与ではありません。
離婚後の生活保障、扶養として財産分与が行われる場合(扶養的財産分与)も、財産分与請求権に基づいた給付であり、贈与ではありません。
したがって、原則として、贈与税はかかりません。
2.税金(贈与税)が課税される場合(相基通9-8)
2-1.過大な財産分与
財産分与は、夫婦の話し合い、協議によって、自由に、分与の割合や分与の額を決めることができます。
もっとも、分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額、その他すべての事情を考慮してもなお多過ぎる場合、その多過ぎる部分に、贈与税が課税されます。
このような場合にも贈与税がかからないのは、租税公平主義の原則に反すると理解されているためです。
2-2.贈与税を免れるための財産分与
離婚及び財産分与が、贈与税を免れるために行われたと認められる場合、全額に対して、贈与税が課税されます。
この場合の離婚及び財産分与は、虚偽であり、財産分与の形式を装った贈与だからです。
贈与税を免れるための財産分与であるか否かは、財産分与の内容、離婚後の生活状況の変化の有無及び程度などから判断されます。
3.離婚前の財産分与
財産分与は、離婚前には行うことはできません。
離婚を条件とした財産分与の認識であったとしても、離婚前に実行すれば、贈与とみなされ、贈与税が課税されることになります。
4.贈与税の基礎控除
例外的に贈与税が課税されるケースであっても、贈与税の基礎控除(一人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から110万円を差し引くことができる)を受けることができます。
したがって、過大な財産分与が行われた場合でも、1年間に贈与を受けた額と多過ぎた部分の財産分与額の合計が、110万円以下であれば、贈与税はかかりません。贈与税を免れるための財産分与についても、同様です。
なお、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例があります。
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