基礎知識 (認知請求・認知の訴え)
目次
1 非嫡出子・婚外子の父子関係
法律上の婚姻関係にない男女間に生まれた子を、非嫡出子・婚外子といいます。
非嫡出子・婚外子は、父の認知がない限り、法律上の父子関係が成立しません(民法779条)。
認知されると、子が生まれたときから法律上の父子関係があったこととなり、相続権や扶養義務などが生じます(同法784条)。
2 非嫡出子・婚外子の戸籍と認知
非嫡出子・婚外子は、母親が出生届を提出することで、母親の戸籍に入ります。
父から認知されていない場合、子どもの戸籍の父欄は、空欄です。
非嫡出子・婚外子の母の戸籍(未認知)のサンプル ※一部抜粋
戸籍に記載されている者 |
【名】春日井護 【生年月日】平成24年5月6日 【父】 【母】春日井花子 【続柄】長男 |
認知を受けると、子の父欄に父の名、身分事項に認知したことが、それぞれ記載されます。
非嫡出子・婚外子の母の戸籍(認知)のサンプル ※一部抜粋
戸籍に記載されている者 |
【名】春日井護 【生年月日】平成24年5月6日 【父】中部太郎 【母】春日井花子 【続柄】長男 |
身分事項 出生
認知 |
【出生日】平成24年5月6日 【届出日】平成24年5月10日 【出生地】愛知県春日井市 【届出人】母 |
【認知日】平成31年2月3日 【認知者の氏名】中部太郎 【認知者の戸籍】愛知県名古屋市中村区名駅三丁目23番 中部太郎 |
なお、認知者である父の戸籍は、認知すると身分事項に認知したことが記載されます。
子を認知した父の戸籍のサンプル ※一部抜粋
身分事項 認知 |
【認知日】平成31年2月3日 【認知した子の氏名】春日井護 【認知した子の戸籍】愛知県春日井市中央通一丁目66番 春日井花子 |
3 任意認知と強制認知
認知は、父が任意に認知届を提出して認知する方法(任意認知)と、父が任意に子を認知しない場合に、認知の訴えによって認知させる方法(強制認知)があります。
関連記事:任意認知とは何ですか?認知届はどのように出しますか?
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3-1 任意認知
任意認知は、父が、父の本籍地又は住所地、又は、認知される子の本籍地の役所に、認知届を提出して行います(同法781条1項)。
遺言で子を認知することもできます(同条2項)。この場合、認知届の届出人は遺言執行者になります。
母の承諾を得て、この出生前に、胎児をすることもできます(胎児認知といいます。同法783条1項)。
死亡した子に、子や孫がいる場合、死亡した子について認知することもできます(同条2項)。
子の承諾を得て、成人した子を認知することもできます(同法782条)。
3-2 強制認知
子の出生前、胎児について強制認知を求めることはできません。
父の死亡から3年を経過するまでは、認知の訴えを提起することができます(同法787条)。
3-2-1 認知調停・審判認知
認知の訴えは、子、子の法定代理人などが、相手方である父の住所地を管轄する家庭裁判所に、認知調停を申し立てて行います。
認知の訴えは、調停前置主義の適用があり、認知訴訟に先立って、認知調停を行う必要があるためです。認知調停で、当事者間で、子が父の子であるという合意ができた場合、家庭裁判所が調査の上、合意に従った審判がなされます。
審判で認知されることを、審判認知といいます。
3-2-2 認知訴訟・判決認知
認知調停が不調に終わった場合、原告(子、子の法定代理人など)又は被告(父)の住所地を管轄する家庭裁判所に、認知訴訟を提起します。
認知訴訟では、裁判官が、当事者の主張や証拠、その他裁判所が調べた事実等(DNA鑑定結果など)に基づいて、子を認知するか判断します。
裁判官の判断は、判決として言い渡されます。
判決で認知されることを、判決認知といいます。
判決内容に不服がある場合、判決書が送達されてから14日以内に、控訴することができます。
なお、認知訴訟では、訴訟上の和解による裁判の終了はありません(人事訴訟法19条2項)。
3-2-3 審判認知・判決認知後の認知届の提出
審判認知・判決認知が確定した場合、10日以内に認知届を提出する必要があります。
最後に
強制認知・認知の訴えでは、認知訴訟に先立って、認知調停をしなければなりません。
当事務所の弁護士なら、調停に同席し、裁判所や調停委員とのやりとり、相手とのやりとりも全て任せることができます。
1ヶ月に1回程度しか開かれない各調停の間にも、相手方本人や相手方代理人弁護士との交渉や必要な手続きを行い、調停の長期化を回避、早く終わらせるよう尽力します。
審判認知されなかった場合の認知訴訟にも対応します。
子の認知、法律上・戸籍上の父子関係でお悩みの方は、当事務所弁護士に、お気軽にご相談・ご依頼ください。